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世界的名著『罪と罰』紹介

ただ一条の太陽の光、鬱蒼たる森、どことも知れぬ奥まった場所に湧き出る冷たい泉があれほどに大きな意味を持ちうるではないか。

1あらすじ

サンクトペテルブルクにクラス貧しき青年、ラスコーリニコフ

彼は病的な考え方にとらわれていた。

あの金貸しの老婆を殺して、財産を奪えないだろうか。

 

役に立たない老婆より、自分が財産を持ち、大学に通い、人のために働く。

その方がよほど効率が良い。

歴史上の偉人たちは何人も殺しておいて、称賛されているじゃないか。

自分だって……。

 

2著者紹介

著者はロシアの文豪ドストエフスキー

ドストエフスキー

 

1886年に『罪と罰』を発表

本著は当時のドストエフスキーの恋人によって口述筆記されて、完成したと言う。

 

幼いころから、聖書などに親しんでいた。

また一時、逮捕され死刑寸前で音写された経験を持つ。

 

3魅力紹介

意外にも読みやすい

本著の名前だけは知っていると言う人も多いかもしれません。なんとなく偉そうで、難しそうな、ロシア文学というイメージではないでしょうか。

 

これは僕自身意外だったのですが、この本は読み易いです。

 

特に難解な言い回しもありませんし、感じが難しいと言うことも無く、本当にスムーズに読めました。

 

聖書やキリスト教的な理解についても、僕は必須だとは感じませんでした。

もちろんキリスト教などに詳しければさらに面白いでしょうが、ストーリーを追うのに必ず必要という感じはしませんでした。

 

注釈だけで充分読み進めることができる作品だと思います。

 

前述したように口述筆記で書かれた作品だから読みやすいのだと思います。

 

意外にも読みやすいのが本著の魅力の一つです。

 

デスノート的面白さ

さて、本作の主人公ラスコーリニコフは人を殺めます。当然この殺しの事実を隠そうと言うのが序盤の流れ。

 

しかしこれに対抗して、主人公を怪しむ人間も現れる。

予審判事のポルフィーリィとの対決は、文学的なキラとLの様でした。

 

直接話しながら腹を探り合う2人。

もちろんエンタメ作品ではありませんから、2人の対決は副次的に書かれていますが、ここが面白い。

 

心理戦としても楽しめると思います。

特に主人公の心情は細かく描写されていますから、サスペンス的な読み方をしても面白いと思います。

 

圧倒的達成感

この本は1000ページ以上の大作です。

上・中・下巻とあり、読み終えた後は、やり切った感じに満たされます。

 

またこの本は世界的名著に数えられる作品です。

それを読み切ったとなると、誰かに自慢したくなってしまいます。

 

そう思わせるほどに、この作品は重厚です。

 

先ほども書いた通り、長いので、主人公の心の動きがかなり細かく書かれています。

 

他のキャラクターも同様です。

作中に起きる多くの悲劇に読者は引き込まれます。

 

長編作品のメリットとも言えるでしょう。

長いからこそ読者を作中に引き込むことができる。読後感が後を引く。

 

そう言ったところが本作の魅力です。

 

まとめ

僕はこの作品を読むのに3カ月ほどかかりました。

僕は読むのが遅いので皆さんはもっと早く読み終わると思いますが……。

 

正直言って読み切るのは大変でした。

しかし同時に面白く、興味深かったです。

 

19世紀にすでにこんなことを考える人が居たのかと驚きました。

 

また人間性の尊さや後悔、更生についても考えさせられます。

 

信仰を持つ人が少ない日本人こそ、興味深く読めそうだなと思いました。

 

言ってしまえば殺人犯が改心するまでを書いただけの作品なのですが、長いだけあってとにかく詳細です。

 

ラスコーリニコフが悩みに悩む。また生きるか死ぬかについても悩みぬく。

 

深い思索の世界でした。

食わず嫌いせずに読んでみると、意外とすんなり読み切れるかもしれません。

 

世界的名著、オススメです。